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<<創刊号>> 序:本物を見る審美眼=おた力(りき)
執筆 : 星雲御剣/注釈 : 清水銀嶺
序:本物を見る審美眼=おた力(りき)
不況である。あのトヨタでさえ、ついにご存じの有様……そんな中にあって、未だ気勢を上げ続けているのがオタク関連事業だ。
鷺宮神社(※注1)が『らき☆すた』で盛況だとか、ガンダム(注2)事業は下方修正でも500億円レベルを堅持しているとか……。
一方、各地の名物・名産を戦隊ヒーローに見立てた「ご当地レンジャー」や、『ひこにゃん』に代表される「ゆるきゃら」なども盛況である。
これらは、言うまでもなく、オタク産業系キャラクターの持つ「アピール力」を効果的に利用しようという狙いがある訳だが、その実績をみると、これは各々ではっきりと明暗が分かれているようだ。
すでに「キャラクターなら何でも売れる」という時代では無いのである。
売れるキャラクターと売れないキャラクター、その差はどこにあるのだろうか?
それは「本物であるかどうか」に全て要約される。では、ここで言う「本物」とはなんなのであろう?
いわゆる「オタク」と呼ばれる層は独特の審美眼、『おた力(りき)』とでも言ったものを備えている。そして、これに適わないものは、オタク以外の一般層にもアピールすることができない。
「単なる物まねの偽物」と見られてしまうのである。
オタク産業、キャラクターで儲けようと考えるなら、この『おた力(りき)』は必須の能力だと言える。
だが、『おた力(りき)』は、興味と趣味に没頭する中で自然と身についたもので、従来、習得マニュアルのようなものは存在しない、とされてきた。しかし、逆に考えたらどうだろう?
要は「オタクの楽しみ方」さえ分かれば良いのである。
次回より、この「オタクは何をどうやって楽しんでいるのか」、この点を解き明かしつつ、この未曾有の大不況を生き延びる『おた力(りき)』の習得を目指して行きたい。
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&&&&&&&&&&&&&&&&&&&& 執筆者紹介 &&&&&&&&&&&&&&&&&&&&
◆星雲御剣(せいうん みつるぎ)
80年代後期ファミコンブームの頃から各ゲーム誌で攻略記事を担当。
ゲームのみならず、マンガやアニメにも造詣が深く、某大手出版社の入社試験では、面接官に聞かれたウルトラマン、仮面ライダー、ガンダムの顔と名前を全部言い当てたのが合格の最大の決め手になった、と言われている(笑)。
独特のオタク感を実生活に反映させる生き様を模索、実践する求道者。
◆清水銀嶺(しみず ぎんれい)
唐沢俊一氏主宰の『文筆業サバイバル塾』第一期塾生。
個人ブログ『オタクの辞典』を開設。
既刊『メイド喫茶で会いましょう』
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<<通巻1号>> 1:気勢を上げるオタク事業
執筆 : 星雲御剣/注釈 : 清水銀嶺
1:気勢を上げるオタク事業
宣伝の際、アニメやマンガでアピールする。
これは別段、新しい手法でも目新しい奇策でもなく、古くは明治・大正、さらにこじつけるなら市場経済が近代化し始めた江戸時代中期からその萌芽が散見される常套手段だ。(※注1)
事実、古今印象的なCMには大なり小なりマンガやアニメを絡めたものが多いはずである。
これは、よく考えればちょっと不思議なことだ。
アニメやマンガが無くとも、人間は別段何の不自由もなく生きていける。生存や生活に直接関係のないマンガやアニメに、なぜこうも人間の意識は激しく惹かれてしまうのだろうか?
「人はパンのみにて生きるにあらず」とか言う言葉があるが、ここで言う『パン以外の何か』、つまりは『心のよりどころ』がアニメやマンガだからであろうか?
で、あるならば、なぜほかの動物と違って、人間だけがこのような『よりどころ』を必要とするのであろう?
ある視点から人間というものを考察し直して見ると、「オタク的発想ができる人物は危機的状況への対応力が高い」という事実が見えてくる。
事実、多くのオタク達は、不況などどこ吹く風で、各地のイベントや毎週末の秋葉で怪気炎を上げ続けているのである。
人間は、『よりどころ』を持つことによって真価を発揮する……というよりも、『よりどころ』を持てる精神的余裕こそが人間の真価だと言うことだ。そして、それは人間誰にでも備わっているはずなのである。
復帰までには十年近い時を必要とするとも言われるこの大不況、眠れるオタク資質を呼び覚まさなければ乗り切るのは難しい。
では、そもそもオタクとは何なのか?
どうすればその素養を伸ばすことができるのか?
次回からは、オタク、と呼ばれているものの根源を、より本格的に探ってみようと思う。
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<<通巻2号>> 2:オタクはかくも強いのだ
執筆 : 星雲御剣/注釈 : 清水銀嶺
2:オタクはかくも強いのだ
オタク、と呼ばれる人々の一般的イメージはどんなものであろうか?
『オタキング』岡田斗司夫氏(※注1)の長年にわたる著述活動によって、負のイメージは大分解消された印象があるが、それでもまだ残っているイメージは「引きこもり」で「貧弱」というところだろう。故に時折、『オタク狩り』などという、秋葉原に集うオタクの所持金を狙った事件が起こったりするわけだ。
だが、この「オタク狩り」、成功して大もうけしたという話をとんと聞かなくはないだろうか?
多くのオタクは、見た目に反して貧弱ではないのだ。少なくとも、他人の懐を脅し取ろうと簡単に考える輩よりは逞しいのである。
休日ごとに秋葉原界隈をぐるりと一回りし、コミケ(※2)等のイベントがあれば、暑さ寒さをものともせずに数時間の行列に耐える、実にタフな性質を持っているのである。しかも、これは特定のトレーニングで身につけたのではなく、彼らにとってごく当たり前のライフスタイルかつ自然と身についた資質なのである。
さらに言えば、オタクの多くは金持ちだ。自分の趣味を満足させるために、自分の持ち得る資質をフルに発揮して、少しでも多くの収入を得ることに余念がない。さらに、この「資質」もまた、無理な努力で身につけたのではなく、日々趣味的に楽しみながら自然と身についたものなのである。
これは自然界的には当たり前のことで、泳ぎの得意な魚は水泳教室に通っている訳ではなく、魚なりの自然な生活をしているだけだ。できない魚は単純に自滅するだけなのである。
さて、この大不況時代。前回も記したことだが、自滅したくなければ、眠れる資質を開花させる必要がある。それも、無理せず楽しみながら……人類には、そもそもそれが可能な資質が遺伝的に備わっているのだ。次回は、その根拠となる話をしてみよう。
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<<通巻3号>> 3:始祖がオタクだった・その1
執筆 : 星雲御剣/注釈 : 清水銀嶺
3:始祖がオタクだった・その1
唐突だが、話は十万年前までさかのぼる。
いわゆる原始時代というやつだが、人が猿から猿人、原人を経て現代人類に至る道のりの中に、「そもそも人類は皆オタクである」ことへの重大な証拠があるのだ。
人間は猿から進化したというのはもはや定説の様に語られているが、最新の考古学によると、かつて人類は一種類ではなかったらしいのである。
現在、猿にもゴリラやオランウータン、チンパンジーなど色々あるように、人類にも何種類かの「亜人類」が存在した時代があったらしいのだ(余談・筆者は長年、『はじめ人間ギャートルズ』(※注1)のドテチン、……主人公ゴンの相棒の、あのゴリラだか人間だか微妙な存在が不思議でならなかったのだが、この話を聞いたとき、ああ、あれはそういうことだったのか、と奇妙に納得してしまった)。
これが、およそ十万年ほど前に、火山活動の激化や氷河期(※注2)の変遷による気候変動などが起こると、ほぼ全ての亜人種が滅んでしまい、唯一、我々のご先祖となる一団だけが生き延びる事になったらしい。
身体的能力や、道具を作る程度の高低はさほどの差がなかった亜人種たちの中で、なぜ、我々の先祖だけが生き延びたのだろうか?
ここに一つ、興味深い遺跡が発見されている。 南アフリカの某海岸線で、この激動期直後頃の洞窟住居が発見されたのだ。
この住居から発見された石器には、それ以前の時代には見られなかったある特徴があった。それは「装飾」が施されていたことである。
単純な斜め線が交差するシンプルな刻印模様であるが、この模様は、道具としての機能には一切関係がないただの飾りなのである。
これこそが、人類初の「生存には直接関係ない趣味的行為」……言ってみれば「オタク的文化活動」の痕跡なのだ(以下次号)。
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