その船は異様だった。禍々しい外観もそうだけど、威圧すように街の上を低く飛んでいる。 「普段この辺をよく飛んでるの?」と、揺れる車内で僕は訊いた。 「いや、見たことないよ。何かを運んでる…?」と、考え込むような素振りを見せながらハンザは答えた。 何故か、冷や汗が肌を伝う。 エンジン音が響き、周りの景色がどんどん流れていく。 ようやく街にたどり着く頃には、街にいる人々は船を見上げていた。 装…
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コスモス 第十五話「田舎道」
ブラインドの隙間から陽の光が差し込み、目が覚めた。 薄っすらと、白い天井が目に入った。 「ここは……?」 僕は少し体を起き上がらせ、薄暗い部屋で、霧がかかったように安定しない頭の中をゆっくりと整理する。 そうか、ハンザの家に泊まってたんだっけ。 昨日のことを思い出しながら身の回りを見ると、隣でイオがすぅすぅと、気持ちよさそうに眠っている。 その姿に僕の心臓は大きく跳ねて、眠気が一気に吹…
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コスモス 第十四話「お泊り」
夕方、コスモスの戦闘指揮所で、今夜はハンザの家に泊まることをコスモスに伝えた。 「分かりました。着替え等必要な物を生産車両にてご用意します」 「うん、ありがとう。コスモス」 素直にコスモスにお礼を言うと、中央のモニターに表示されたリングが点滅した。 「ご主人様。私は先に、必要な物を取りに行ってきますね」 そう言うと、イオは後ろの車両に移動した。 コスモスに長く間いたイオの方が、生活に必要な…
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コスモス 第十三話「噂」
遠くまで響きわたるような力強い汽笛を鳴らしながら、コスモスはいつもよりゆっくりと上空を走る。 僕らは今、ハンザの家に帰る途中に展望デッキに出て、ハンザの町を軽く案内してもらっているのだ。 「あ!あれが一番見晴らしのいい丘で、たまにピクニックにいくんだよ」 手すりにつかまりながら、ハンザ指さして教えてくれた。 「ハンザさん、あれは何をしているんですか?」 下を覗き、興味津々に訊ねるイオ。 …
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コスモス 第十二話「ハンザの世界」
どこまでも続く広大な超空間、或いは世界と世界を繋ぐ無限のトンネル。 コスモスはその中を、時々汽笛を鳴らし、ハンザの船を牽引しながら走っている。 ハンザの元いた世界は、航行不能になったところからそこまで遠くないらしいけど、波の影響で遠回りすることになった。 特にやることのない僕らは、戦闘指揮所で、お互いの世界について話していた。 中央の座席に僕、ハンザは左前の座席、イオは右前の座席に、それ…
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コスモス 第十一話「新しい友達」
指定された起床時間に、私はご主人様のお部屋の前に立っていました。 起こすようにご命令されていますから、コンコンと軽くノックをしてからお部屋に入ります。 お部屋の中はカーテンの隙間から漏れる細い光以外は薄暗く、ご主人様の息遣いが聞こえるほど静かです。 私は真っ先に窓の方へ行くと、カーテンを開けてお部屋の中に光を取り入れました。少し、眩しいです。 「ご主人様、七時間経ちましたよ。起きてください…
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コスモス 第十話「万能」
指揮所の中央のモニターにはコスモスの装備について、多く表示されていて、どれもどんな機能を持っているか分からない。 僕はこれから具体的にどうするか決めるため、コスモスに装備の一覧表や性能表を出してもらったのだ。 「凄い数の装備ですね…」 イオが、呆れたように言う。 僕も、この装備の多さに驚いている。 火砲だけでも百門近くあり、どの武器も威力は使ってみるまで分からない。 ただ、さっき唯一使…
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コスモス 第九話「覚悟」
目を見開いたまま、僕は動けなかった。 「こ、コスモス……。僕の、いた街……は?」 声を絞り出すように、胸の奥から押し出すようにして訊く。 「生命反応なし。熱源反応なし。その他の反応、確認できません。転移の可能性ゼロパーセント。太陽系第三惑星『地球』消失。現在、このエリアは重力が乱れているため、非常に危険です。安全確保のため、急速で離脱します」 コスモスは淡々と答え、また走り出している様だった…
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コスモス 第八話「地球が壊された日」
二学期が始まってから一週間、僕たちは体育祭に向けて、泥だらけになりながらも練習に打ち込んでいた。 夏の暑さが残る中での練習で気力は削がれ、授業中は疲労で眠く、さらには部活の練習も加わって体中が痛い。 でも、その成果があってか、最初はまとまりが無かった皆も、今ではどのクラスも団結して、どこが優勝するか分からない。 今は自由練習時間で、僕たちの学年は本番に向けて練習していて、凛音も他のクラスの…
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コスモス 第七話「夏休み明け」
夏休みが終わり、二学期の始業式の日。 僕は、少し重たい体を起こした。 カーテンから漏れる陽の光がいつもより眩しく感じる。 ベッドを降りた僕は頭を掻きながら、フラフラと階段を降りる。 パンを焼いて、母さんが作ってくれたスープをお椀によそる。 朝ごはんを食べ終わり、歯を磨いていると、ピンポーンとインターホンが鳴った。 「おーい早く来いよ、先行くぞ」 里久の声が玄関の方から聞こえる。 「ち…