指揮所の中央のモニターにはコスモスの装備について、多く表示されていて、どれもどんな機能を持っているか分からない。 僕はこれから具体的にどうするか決めるため、コスモスに装備の一覧表や性能表を出してもらったのだ。 「凄い数の装備ですね…」 イオが、呆れたように言う。 僕も、この装備の多さに驚いている。 火砲だけでも百門近くあり、どの武器も威力は使ってみるまで分からない。 ただ、さっき唯一使…
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コスモス 第九話「覚悟」
目を見開いたまま、僕は動けなかった。 「こ、コスモス……。僕の、いた街……は?」 声を絞り出すように、胸の奥から押し出すようにして訊く。 「生命反応なし。熱源反応なし。その他の反応、確認できません。転移の可能性ゼロパーセント。太陽系第三惑星『地球』消失。現在、このエリアは重力が乱れているため、非常に危険です。安全確保のため、急速で離脱します」 コスモスは淡々と答え、また走り出している様だった…
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コスモス 第八話「地球が壊された日」
二学期が始まってから一週間、僕たちは体育祭に向けて、泥だらけになりながらも練習に打ち込んでいた。 夏の暑さが残る中での練習で気力は削がれ、授業中は疲労で眠く、さらには部活の練習も加わって体中が痛い。 でも、その成果があってか、最初はまとまりが無かった皆も、今ではどのクラスも団結して、どこが優勝するか分からない。 今は自由練習時間で、僕たちの学年は本番に向けて練習していて、凛音も他のクラスの…
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コスモス 第七話「夏休み明け」
夏休みが終わり、二学期の始業式の日。 僕は、少し重たい体を起こした。 カーテンから漏れる陽の光がいつもより眩しく感じる。 ベッドを降りた僕は頭を掻きながら、フラフラと階段を降りる。 パンを焼いて、母さんが作ってくれたスープをお椀によそる。 朝ごはんを食べ終わり、歯を磨いていると、ピンポーンとインターホンが鳴った。 「おーい早く来いよ、先行くぞ」 里久の声が玄関の方から聞こえる。 「ち…
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コスモス 第六話「夜空に咲く花」
八月の上旬、午後五時。日はもう沈みかけていて、僕の住んでいる街は綺麗な薄いオレンジ色に染められていた。 僕とイオは今、家の前で凛音と里久が来るのを待っている。 最近はコスモスやイオと会ってばかりで、里久たちと遊んでいなかった。 さすがに里久たちとも遊びたいと思ったので今日はイオも連れて、街で行われる花火大会に行くことにした。 事前に二人には、イオは遠い親戚の子ということで説明してある。…
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コスモス 第五話「ゲーム」
チョコを食べ終った僕らは空調設備の整った車内で、フカフカな、座れば腰が沈み込むようなソファーでのんびりとくつろいでいた。 不意に「ふあぁぁ」とあくびが出てしまった。 やっぱり、このソファーは眠気を誘う気がする。 まずい……段々と瞼が重くなってきた。 このまま眠ったら…。 「ご主人様?」 その声でハッとし、横を向くと、イオが顔を覗かせていた。 「ああ、ごめんね。ちょっと眠くなっちゃってた…
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コスモス 第四話「共有する時間」
イオを着替えさせた後、僕らはコスモスの最後尾車両まで歩いてまわった。 列車は長く、設備も多かったため意外と時間がかかった。 コスモス編成は、前から機関車、戦闘指揮所、一つ目の戦闘車両、客車、二つ目の戦闘車両、機関車という順番になっていて、二つ目の戦闘車両の主砲は後ろを向いているのが確認できた。 どうやら前の主砲は前方、後ろの主砲は後方を攻撃できるようになっているらしい。 列車全体をまわっ…
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コスモス 第三話「人造少女」
田舎から帰った次の日、カーテンの隙間から差し込む光が顔に当たり、目が覚めた。 耳を澄ますと、外から小鳥のさえずりが聞こえ、心が澄んだような気分になる。 僕はあくびをしながら床に足をつき、ベッドを降りて、掛布団を整えた。 カーテンを開けると、窓の外には綺麗な青空と雲が幻想的に輝いていた。 こういう日の朝は、なんだか心地良く、今日一日が上手く行くような気がする。 さて、と僕はその景色を後に…
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コスモス 第二話「出逢い」
片側だけで六つの動輪がある、見たことの無いほど巨大な蒸気機関車だ。色は顔が銀色に塗装されていて、それ以外は黒かった。特徴的な煙室ドアには、プレートの代わりに二つの八角形の板が横に並んで付いていて、その下に大きなスカートがあった。 おかしいのは、機関車と炭水車の後ろだ。 車両の側面と屋根の上に戦艦であるような三連装の主砲に似たものが付いている車両が連結されているのだ。 いわゆる、戦闘車両…
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コスモス 第一話「不思議な体験」
七月。夏休みのある日。僕は今、親戚の家の近くにある山の中へ、一人で入っていた。 夏休み初日から数日、三泊四日で僕は母さんの親戚の家に家族で遊びに来ていてた。 周りには田や畑ばかりで、隣の家に行くのにちょっと歩いたり、コンビニがなかなか無かったり、電車が三十分に一本の田舎である。 山に囲まれていて、景色はとても綺麗だ。 本当ならお盆に帰る予定だったけど都合が合わなくて、夏休みが始まってすぐ…