ピンボーン♪ と門の呼鈴(チャイム)を鳴らす。 すると、小時(しばらく)してから、なんの返事も無しに玄関の押戸(ドア)が開いて、命くんが顔を出した。 私は、ニコッと微笑んで小さく手を振った。 二人とも今日から、二週間ぶりの学校。 勿論、一緒に行こうって誘ったのは私。 命くんが門を出ると途端(すぐ)に、私は命くんの手を取って、トットコ歩き出した。 あの日───、病院で目を醒ました私の目…
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S c e n e6・復 活(いきてかえる)
「………これが………、これが命くん…なんですか………? この光の球が、命くんなんですか!?」 制服の胸元と左の袖口を自分の血で染めた私は、跼坐(しゃが)んで、排球(バレーボール)くらいの大きさの光の球を両手で抱えた。 光の球は鋭い眩しさじゃない、優しくて柔らかい光を発(だ)している。 そして光の球を胸に抱くと、確かに命くんを感じた。 臆病な、けれども温かい命くんを。 私は、さっき尋ねた、…