空気が重い───。 空気が熱い───。 ここは、何処───? 濁った紅い色の空が広がっていて、紅蓮の炎を噴き上げる山々が連なっている。 現実の世界だとは思えない。 夢……? 夢にしたって、こんな光景は初めて見るし、恐(すご)く生々しく感じる。 なんか、見ていると、こう…胸が吐気(ムカムカ)してくる光景。 ───あっ、飛んだ!? 人間が空を飛べるわけ無いのに、ましてや…
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S c e n e2・欠 陥(かけているもの)
小装飾店(アクセサリーショップ)に寄り道した帰り、私たちは夕暮れのいちばん奇麗な時間の荒川の土手を、小装飾(アクセサリー)の話しで盛り上がっていた。「あ~あ、フッちゃんが羨ましい」と洩らすサッチ。 「なにがよオ?」と尋ねる私。 「だってさ、フッちゃんはああゆうのくれる男子(ひと)が多勢(たくさん)いるんだもの」 「冗談じゃないわ。そりゃあ美男子(いいおとこ)から貰うなら嬉しいけどォ、…