そこから降りてきたのは慶介とイオ。 「何で……何で来たんだ!慶介!!」 俺は叫んだ。 しかし、慶介の表情は真剣そのもので、こちらに視線を送り、まるで「大丈夫」と言っているだった。 2人が数歩歩くと、突如として戦闘員の誰かがイオの元に棒状のものを投げ、半透明の緑色のドームのようなものが展開された。 それにはイオも慶介も驚いていた。 「あれは……」 「猛獣向けに作られた携帯用捕獲…
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コスモス第二十二話「人質」
「旅立つなら、明日がいい」とハンザは言って、白いコップに入ったお茶を一口啜った。 お別れに最後の夕飯をとった僕らは、大きな窓のそばにある、紫色のソファーに腰かけてゆっくりしている。 外はもうすっかり暗くなっていて、水色の月の光が夜空に浮かぶ雲を照らし出していた。 今まで気が付かなかったけど、この世界の月は地球で見た月よりもずっと大きく、模様がはっきりと見える。 もしかしたらこの…
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コスモス第二十一話「夕食」
僕はイオの手を引いて廊下に出ると、先ほどの部下の人が後ろで制止しているのも聞かづずに歩き続けた。 後ろで何か話し声や、叫ぶ声が聞こえたけど、それもすぐに止んだ。 僕らは気にせずに、歩み続ける。 「ごめんね、イオ。嫌な思い、させちゃったよね」 「私は大丈夫ですよ。安心してください」 イオはどこか嬉しそうに、笑顔で答えた。 さっきまでと違って、なんだか安心したような心地だった。…
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コスモス 第二十話「二人は僕が守る」
僕とイオはコスモスで朝食を食べて、身支度を整えてからハンザの家に来ていた。 建物の外にはベンチがあって、ハンザと二人で座った。 暖かく湿った風が優しく頬を撫でている。 青く澄み渡った空に浮かぶ白い雲は緑色の山々に影を落としている。 平和な景色だった。 「今日はどうするつもり?」とハンザはゆっくりと口を開き訊いてきた。 「今日はコスモスに乗って遠くの方で情報探してみるつもり。そ…
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【書評】『正しいブスのほめ方 プレミアム』 (トキオ・ナレッジ/宝島社)
ブスの当て字の一つに「毒」がある。毒とは随分ひどいが、これは有毒植物のトリカブトの塊根部分を附子(ブシ)と呼び、毒の主成分アコニチンによって筋肉が麻痺し無表情になるさまを見て、「ブス」と呼んだことに由来するという。まぁ、外見だけならブスを見たからといって毒になることは無いものの、これが性格ブスだと話が変わってくるだろう。なにしろ友人関係や仕事関係などとなれば、自分に害を及ぼすことも…