執筆 : 星雲御剣/注釈 : 清水銀嶺
15:あの日のアカレンジャー
作品への愛着……幼児期においては、およそ誰もがなにがしかの作品に夢中になり、愛着をもって過ごしていたはずである。
それが、ある年齢になると「卒業」して行く者と、そのまま止まって「オタク的資質」を開花させていく者とに別れていくのはなぜだろう?
参考までに、著者の自分語りをさせて貰うなら……。
あれは、小学校4年生の時だっただろうか?
当時、著者はとある事故で歩行困難な状況にあり、日常生活では松葉杖が手放せない状態であった。
そんな時、近所の公園で、町内会主催の『秘密戦隊ゴレンジャー』のショーがあった。
どうせ町内会レベル、チープなモノであろう事は、小4にもなれば予想できても居たのだが、闘病の気晴らし、とばかりに、著者は困難な歩行を押して見物に出かけたのだ。
その内容は案の定で、ミカン箱にベニヤ板を指し渡しただけのステージに、ゴレンジャーの衣装を着たボランティア学生が上っていて、行列した子供が順番に握手を求めていくという、本当にただソレだけの代物であった。
しかし、である。松葉杖で、行列に入りあぐねている著者を見たアカレンジャーは、あろうことか、行列を飛び越してステージから降り、まっすぐに著者の方へと歩み寄ってきたのである。
「君、大丈夫か?」(補1)
……そのボランティア学生は、イベント用のチープなマスク越しにその顔が丸見えなのに、完全にアカレンジャーに成りきっていた。
普通なら、もう完全にどん引きである。しかし、その時、著者はこう思ったのだ。
「子供だましにココまで真剣になれるなんて、なんてスゴイことなんだろう!」
……と。
それが絵空事と気がついたとき、それに関わる人物の熱意をどう解釈するか?
どうやら、これが分かれ道の様だ。
★補1
後に、著者はアトラクション・ショー関係のアルバイトをすることになるのだが、その際に聞かされた要注意点は以下の通り。
1・着ぐるみを着ている者はしゃべってはいけない。
2・特定の顧客を依怙贔屓するような行動はしない。
……あの日のアカレンジャー、ダメじゃん!?(笑)
◆次回は「16:トラワレ・ハナタレ」
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&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&& 執筆者紹介 &&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&
◆星雲御剣(せいうん みつるぎ)
80年代後期ファミコンブームの頃から各ゲーム誌で攻略記事を担当。
ゲームのみならず、マンガやアニメにも造詣が深く、某大手出版社の入社試験では、面接官に聞かれたウルトラマン、仮面ライダー、ガンダムの顔と名前を全部言い当てたのが合格の最大の決め手になった、と言われている(笑)。
独特のオタク感を実生活に反映させる生き様を模索、実践する求道者。
◆清水銀嶺(しみず ぎんれい)
唐沢俊一氏主宰の『文筆業サバイバル塾』第一期塾生。
既刊『メイド喫茶で会いましょう』(共著)
『ためログ』にて記事を執筆。