23:餃子の王将
さて、ここまで人物ばかり、それもオタク産業関連ばかり見てきたのでちょっと気分を変えて、ここらでオタク産業以外の企業・組織の例を見てみよう。
まずは、この不況下で驚くべき好成績を記録中の「餃子の王将」である(★補1)。
「王将」は、ご存じの通り安くてうまい庶民の味方的な中華料理チェーンであるのだが、その経営理念には、かなりチェーンの常識からは「ハナタレ」た部分がある。
通常、チェーン店というのは、本部からの指定マニュアルに則った経営を義務づけられていて、各店長の裁量というのはほとんど無いのが普通である。
しかし「王将」は、地域ごとに18人いるエリアマネージャーが認めさえすれば、メニューや値段などを各店長が自由にしても良い、という制度が存在する。そして、このエリアマネージャーというのがかなり「ハナタレ」た人々の集団のようであり、普通なら、似た制度があっても認めない様な内容までかなり積極的に実現しているのだ。(★補2)
大食いメニューのチャレンジなどごく当たり前。中華料理店なのにカレーがある店があったり、組み合わせ方次第では半額近くなってしまう特定イベントを開催している店があったり、学生に限り皿を洗えばタダになる店があったり……普通なら、赤字になって当たり前だというのに、「王将」は全店舗黒字だという。これは「安く早くうまく」を肝として見失わず、新たな発想はそれに反しない限り徹底的に採り入れていくという、本項で言う「ハナタレ」的なの基礎理念を実現しているからに他ならない。
さて、次回はまたオタク系、それもゲーム系に戻って「組織内で受け継ぐ系譜」について考察してみよう。お題は、昨今様々なゲーム機で大ヒット中のアレ!
ヒントは「上手に焼けました~!」
★補1
他にも「旭山動物園」などが、芯を押さえた上で旧来にない発想を持ち込んで成功した好例であろう……が、旭山動物園については、なかなか現地まで足を運ぶ機会が無く、詳しく書くにはまだまだ取材が足りません。
陳謝(m_m)
★補2
テレビ朝日系『シルシルミシル』では、このエリアマネージャーの方がインタビューに答えていたが、「(ある店舗のサービスは、かなり裏技的な赤字サービスなので)正直、テレビで広く告知しちゃうと困ったことになる」と苦笑していた程。
積極的なのにも程がある感さえ漂うが、結果的にこのような「ハナタレ」た感覚が顧客を惹きつけるのは実績が証明している。
◆次回は「24:モンハンに引き継がれるカプコン魂1」
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&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&& 執筆者紹介 &&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&
◆星雲御剣(せいうん みつるぎ)
80年代後期ファミコンブームの頃から各ゲーム誌で攻略記事を担当。
ゲームのみならず、マンガやアニメにも造詣が深く、某大手出版社の入社試験では、面接官に聞かれたウルトラマン、仮面ライダー、ガンダムの顔と名前を全部言い当てたのが合格の最大の決め手になった、と言われている(笑)。
独特のオタク感を実生活に反映させる生き様を模索、実践する求道者。
◆清水銀嶺(しみず ぎんれい)
唐沢俊一氏主宰の『文筆業サバイバル塾』第一期塾生。
既刊『メイド喫茶で会いましょう』(共著)
『ためログ』にて記事を執筆。