<<通巻27号>> モンハンに引き継がれるカプコン魂4

執筆 : 星雲御剣/注釈 : 清水銀嶺

27:モンハンに引き継がれるカプコン魂4

 テレビゲームでのコミニュケーションには、機械の進化もさることながら、遊ぶ人間のメンタリティにも成長が必要であった。
 「ファイナルファイト」で、キャラの使い分け事に目覚めたユーザーは、『スト2』の「8キャラで6ボタン」という、かなり一気に複雑化した操作体系も受け入れ、コレをきっかけにしてゲーム市場は一時期対戦格闘物オンリーという状況となった。(★補1)。
 だが、カプコンはこの状況に甘んじる事はぜず、対戦格闘アクションの新作を作り続けながらも、さらなる意欲作を世に問うてくる。
 やがて『バイオハザード』として結実したソレは、ゲーム進行だけを抽出すると、アクション型アドベンチャーゲームとしては珍しい物ではなかったが、リアルに描かれた3D空間の迫力がヒットの最大要因となった。
 この流れは、剣や銃での連続攻撃(コンボ)の楽しさを格闘アクションから引き継いだ『デビルメイクライ』を経て、やがて『モンスターハンター』へと結実していくのである(★補2)。
 PS2に初登場した頃の『モンスターハンター』は、当時はまだ大きなヒット作のない国産ネットゲームに一石を投じるべく送り出された。
 それ故か、ゲームの各要素は、コレまでの存在したあらゆるジャンルのゲームの良いところを全部盛りした様な、かなり贅沢(そして作り上げるには膨大な手間がかかる)仕様となっていたが、通信インフラの未整備が祟り、マニア受けの中ヒットで止まってしまう……やがて光明は「携帯用ゲーム機」に見いだされる。
 『モンスターハンターポータブル(以下MHP)』の登場である。そして、現在大ヒット中の『モンハン』と言えば、多くはこの「ポータブル」のシリーズを指す。
 カプコンは、この『MHP』のヒットを受け、続く2nd、2Gではある方向性への進化を強めていくことになる。それは「普遍性」の獲得であった。(以下次号)


補1
 それまでは、1人のプレイヤーから1つ1つ積み上げる形であった口コミ情報が、2人の相乗倍で2人が4人、4人が8人、とねずみ算式に増えていくのだから、プレイ人口は爆発して当然であるが、ゲームセンター側にしてみれば「1プレイが10秒で終わっても苦情が出ないおいしい筐体」と認識され、大規模に導入する店舗が増えたのもブーム爆発の一要因である。 まるで近江商人の言う「三方良し」の体現である。「汚い商売」と眉をしかめずに、ドコが良かったのかをしっかり見極めて見習いたい。
補2
 この流れからか、『モンハン』の武器アクションは、「動作キャンセルからの連携」という、『ストⅡ』からのユーザーには大変居なじみ深い要素で構成されている。
 アクション同士がどういう関係で素早く繋がるかを把握しておけば、一見すると短い一瞬で終わってしまうように見えるモンスターの「隙」も、連射能力や反射神経抜きで大ダメージを叩き出せるチャンスへと変貌する。
 この法則を見つけ出して実践し、己自身の手に染みついた技として身につけていく課程・「見て、考えて、そして実行せよ!」は、カプコン製ゲーム全般に通じる「面白さ」のツボである。

次回は「28:モンハンに引き継がれるカプコン魂5」
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&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&& 執筆者紹介 &&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&
◆星雲御剣(せいうん みつるぎ)
 80年代後期ファミコンブームの頃から各ゲーム誌で攻略記事を担当。
 ゲームのみならず、マンガやアニメにも造詣が深く、某大手出版社の入社試験では、面接官に聞かれたウルトラマン、仮面ライダー、ガンダムの顔と名前を全部言い当てたのが合格の最大の決め手になった、と言われている(笑)。
 独特のオタク感を実生活に反映させる生き様を模索、実践する求道者。
◆清水銀嶺(しみず ぎんれい)
 唐沢俊一氏主宰の『文筆業サバイバル塾』第一期塾生。
 既刊『メイド喫茶で会いましょう』(共著)
 『ためログ』にて記事を執筆。

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