28:モンハンに引き継がれるカプコン魂5
家庭用ゲーム機から携帯ゲーム、そしてパソコン用にまで幅を広げた『モンハン』シリーズにはある法則性がある。
それは、普及台数に占める有効ユーザー数(★補1)の高い物は難易度が低く、低い物は高くなるという傾向である。簡単に言うと、パソコン用→家庭用→携帯用の順に難易度が下がっていくのだ。
そして、シリーズそれぞれの販売本数を比較すると、最も簡単な仕様となっている携帯用の『MHP』シリーズが最も売れているという結果が見て取れる。(★補2)
この結果を受け、『MHP』のシリーズは、『2nd』→『2G』と、レアアイテムの出現頻度調整や、(通勤・通学中での電車内などの)1人プレイ時に連れて行ける『オトモアイルー』システムの導入など、ゲーム性を損なわずに、簡便・かつ楽しめるような改変が重ねられてきた。
ゲームに登場する武具の性能も、ゲーマー的なヘビーユーザーではない人が参加しても仲間の足を引っ張らないで済むサポート系の能力が充実しているなど、よく見なければ分からない細かい工夫が積み重ねられている。
そして、その工夫は関連商品展開にも見られ、低年齢層や女性層など、いわゆる『一般層』を見越した、リアルや迫力というお家芸をあえてハズした『可愛い路線』のグッズがかなりの数見受けられるのも特徴となっている(★補3)。
こうして分析してみると……なるほど、ここまですれば売れないわけがないという徹底ぶりである。
その気になって探れば探っただけ出てくる面白さのツボを、労力を厭わず、ゲームの内外問わず各所に配置し、それを徹底的に考え抜いて実行すること。
資金がない・人手がない・才能がないと嘆く前に、まだ何かやれることはないか、まずはじっくりと考えてみることが重要なのだ。
★補1
単純な売り上げ台数ではなく、売り上げ台数の中で、どれだけのユーザーが死蔵せずに使用しているか、という指数
家庭用ゲーム機では、ヒット作の新作があるとき以外は遊んでいないというユーザーは非常に多いし、パソコンではゲームを主目的とするユーザーは意外と割合が少ない。
対して携帯ゲーム機は、持ち運べるという利便性から、死蔵のケースはあまりなく、1本1本のソフトも比較的長いスパンで遊ばれ続けるという傾向がある。
★補2
端的な例で言うと、システム的に似通ったところの多い家庭用の『モンスターハンター2(Dos)』と『MHP・2nd』では、
A・装飾品
2では一度装着したら外す際に失われたが、2ndでは付け外しが自在。
B・キッチン
『アイルーキッチン』は、2では使用する食材を自前で調達する必要があるが、2ndではアイルーのレベルや人数に応じて自動的に用意される。
C・昼夜・季節の概念
2ではプレイの実時間に応じて昼夜や季節が移り変わって行くが、2ndには季節の概念はなく、昼夜はクエスト事に固定で表現される。
など、携帯版は簡便性とゲーム性がほどほどになるように調整がなされている。
今後注目したいのは、家庭用ゲーム機でもライトユーザーの比率が高いWiiで発売された『モンスターハンター3(Try)』の評判である……果たして、天下の任天堂フラッグシップにおいて、『モンハン』はどこまで普遍性を勝ち得るのか?
興味は尽きない。
★補3
これは、グッズから入った女性層が『ゲーム自体はあまり可愛くない~!?』と戸惑う要因にもなっているようはあるが、そこはそれ、世界観の端々にちりばめられた『可愛さ』をうまく発見できるよう、友人、知人一致団結して全力で楽しんでいきましょう(笑)
◆次回は「29:総括1・ヲタク成功者、その二つの形」
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&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&& 執筆者紹介 &&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&
◆星雲御剣(せいうん みつるぎ)
80年代後期ファミコンブームの頃から各ゲーム誌で攻略記事を担当。
ゲームのみならず、マンガやアニメにも造詣が深く、某大手出版社の入社試験では、面接官に聞かれたウルトラマン、仮面ライダー、ガンダムの顔と名前を全部言い当てたのが合格の最大の決め手になった、と言われている(笑)。
独特のオタク感を実生活に反映させる生き様を模索、実践する求道者。
◆清水銀嶺(しみず ぎんれい)
唐沢俊一氏主宰の『文筆業サバイバル塾』第一期塾生。
既刊『メイド喫茶で会いましょう』(共著)
『ためログ』にて記事を執筆。