32:このロボットアニメを見よう1
ロボットアニメ監督の第一人者・富野由悠季氏の言葉に、「ロボットアニメが好き、だからロボットが出てくるアニメを作ろう……というレベルの発想で作られた作品ではダメだ」と言うのがある。
これは、好きという事を錦の御旗にしてしまうと、ロボット物が出来るという部分に満足してしまい、好きに伴う「恥」の部分を忘れて、ロボットの魅力の肝心要を外しがちである、と言うことを指しているようだ。
故に、制作者が「恥」をどう捉えて処理しているかを見れば、そのロボット物が当たりか外れかが、だいたい分かるのである。
その点で好ましい例だったのが『ヴァンドレッド』(Vandread)シリーズだ。
ジャンル的には、宇宙SFで合体スーパーロボットに類する本作だが、主人公の乗る機体が「九十九式蛮型撲撃機」という名称である点がスゴイ。
「撲撃機」という造語一個で、この世界の宇宙戦闘機には「拳で殴る」という攻撃手段が必要でかつ有効であり、ソレであるが故に人型ロボットなのだ、という描写をする気が満々にあることが見て取れる。
また、数種ある主役メカの合体形態は人型のみではなく、形態の持つ特徴を生かした能力を発揮する設定であることも見逃せない。
さらにキャラクター配置に注目すると、「少数の男子に多数の女子」という、昨今「ハーレム型」と言われる売れ線を採用しているのだが、コレもまた緻密に設定された状況があり、「好きだから・売れるから」に乗ることの「恥」を原動力とした好感触を生み出すことに成功している。
放送メディアに恵まれなかったせいもあり、出来の良さに反して今一歩話題性に乏しかった本作、笑いと涙、人類存亡に関わる壮大さと個人の些末な事情、といった各要素がバランスよくまとまった好作であり、本稿第一作目のオススメとしてます挙げておきたい。
◆次回は「33:OPとEDは見ドコロの凝縮」
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&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&& 執筆者紹介 &&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&
◆星雲御剣(せいうん みつるぎ)
80年代後期ファミコンブームの頃から各ゲーム誌で攻略記事を担当。
ゲームのみならず、マンガやアニメにも造詣が深く、某大手出版社の入社試験では、面接官に聞かれたウルトラマン、仮面ライダー、ガンダムの顔と名前を全部言い当てたのが合格の最大の決め手になった、と言われている(笑)。
独特のオタク感を実生活に反映させる生き様を模索、実践する求道者。
◆清水銀嶺(しみず ぎんれい)
唐沢俊一氏主宰の『文筆業サバイバル塾』第一期塾生。
既刊『メイド喫茶で会いましょう』(共著)
『ためログ』にて記事を執筆。