<<通巻33号>>OPとEDは見ドコロの凝縮 ~『キングゲイナー』の「どんな話なのかはさておきとにかく面白そうだ」という異様なテンションの高さ

執筆 : 星雲御剣/注釈 : 清水銀嶺

33:OPとEDは見ドコロの凝縮

 新作が毎期ごとにこれだけ集まる昨今、全ての作品において設定だの物語だのを調べ尽くしてから見る作品を決める、なんてのは至難の業である。ましてや、過去の名作や傑作など、到底網羅しきれないのが現実……そこで必要になるのが「センスの鉈」である。
 試しにちょっと見てみよう、と思った場合、まずはドコを見ればよいのであろうか?
 答えは簡単、そのアニメのオープニング(OP)・あるいはエンディング(ED)を見てみると良い。コレが面白ければ、十中・八九は本編も面白いモノなのだ。
 大抵の場合、印象的な作品を思い出す時と言うのは、どんな名場面よりもまず真っ先にOP映像を思い出すのが常である(★補1)。
 ロボット物で例を挙げてみると、「エンターテインメント」に徹底してこだわって作られた『キングゲイナー』の「どんな話なのかはさておきとにかく面白そうだ」という異様なテンションの高さや、『マクロス・フロンティア』の後期バージョンに見られた「映像も歌詞もそのまんま、芸能界における生き残り競争の苛烈さ」を、物語上のメインヒロイン争いに絡めて連想させた手腕などが印象深い。
 また、『ガンダムSEED』シリーズでは主にEDの映像部分に、『まりんとメラン』ではOPの歌詞に物語展開のヒントが隠されていたり(同作はロボット物なのかどうかは……「人造生命」も広義には含む、と言う事でご容赦を)(★補2)、とにかく作りに「凝る」タイプのスタッフにとっては労力を惜しみなく注ぎ込む場でもあるのだ。
 最近は、動画サイトなどを検索する事で、様々な作品のOP・EDを試しに閲覧してみる事はさほど難しくないので(★補3)、まずは動画サイト巡りでOP・ED映像を見て回り、気になったモノ、気に入ったモノから見てみる、という手法をお勧めしてみる次第。


★補1
 OP・EDは、元々はラジオ放送の時代に、音声だけでは番組がドコから始まるのかが分かりにくかった事から始まった慣習であるが、今日では、ソコで流れる楽曲のセールスまでも含めて、番組そのもののプロモーションとして非常に重要な地位を占めるに至っている。それだけに「分かっている」制作陣はそのクオリティに最大の労力を払う。
 ロボット物ではないが、例えば『涼宮ハルヒの憂鬱』などは、直接作品に関係ないCMのキャラクターに起用されるなど、かなり広範な認知度があるが、一般層にはキャラクタービジュアル以外の「どんな話なのか」はほとんど認知されて居らず、これはもう、その認知度において、EDである『ハレ晴れユカイ』の占める割合がかなり大きい事の好例であろう。
★補2
 この辺を入れておかないと、トランスフォーマーなどがかなり微妙になってしまう、と言う事情もある(笑)
 ともあれ、『まりんとメラン』では、後期OPに流れる二番の歌詞に、特に注目。
 作中で、謎のままに終わっていたいくつかの要素に対する解答が隠されている、とも解釈できる内容になっており、これはラストシーンまで見た後、ちょっと頭をひねってみないと気が付かないため、ひょっとしてコレは「凝りすぎてほとんど誰も気が付かなかった」例ではないか? と、著者は勘ぐっていたりするのである。
★補3
 最近は、本編に力を注ぐと言う意味合いや、本気で作り込むOP・EDには時間が足りない等の事情から、第一話にOPやEDが無い場合もあるので、試しにとりあえず第1話を見てみるという手法では、見たモノの好みが合わずガッカリ、という事例が増えている事による提言でもある。

次回は「34:『ガンダム』を見よう その1」
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&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&& 執筆者紹介 &&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&
◆星雲御剣(せいうん みつるぎ)
 80年代後期ファミコンブームの頃から各ゲーム誌で攻略記事を担当。
 ゲームのみならず、マンガやアニメにも造詣が深く、某大手出版社の入社試験では、面接官に聞かれたウルトラマン、仮面ライダー、ガンダムの顔と名前を全部言い当てたのが合格の最大の決め手になった、と言われている(笑)。
 独特のオタク感を実生活に反映させる生き様を模索、実践する求道者。
◆清水銀嶺(しみず ぎんれい)
 唐沢俊一氏主宰の『文筆業サバイバル塾』第一期塾生。
 既刊『メイド喫茶で会いましょう』(共著)
 『ためログ』にて記事を執筆。

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