<<通巻34号>>『ガンダム』を見よう その1 ~『ガンダム』を見始める際、視聴タイトルの選択に混乱を招く理由は大きく3つ。

執筆 : 星雲御剣/注釈 : 清水銀嶺

34:『ガンダム』を見よう その1

 近頃、「ガンダムって沢山あるけど、どう見ればいいの?」という質問をよく受ける。
 確かに、初代以来30年、アニオタを自称するなら避けて通れない作品群である事も事実だが、個々の作品解説こそ数多いが、シンプルな視聴開始ガイドライン的なモノが無いのもこれまた事実である(★補1)。
 そこで、今回より数回に分けて、これからガンダムを見始める人向けの極力シンプル化したガイドラインを考察、現在本稿のテーマとしている「鉈を振るう」実習例にしてみようと思う。
 『ガンダム』を見始める際、視聴タイトルの選択に混乱を招く理由は大きく3つ。
「数が多くアニメ以外にも派生している」
「全く異なった世界が舞台の場合がある」
「作品内時系列と製作年代順が一致しない」である。
 「数の多さ」に対しては、「公式」とされるのは、テレビ、劇場映画、そしてOVAのアニメ作品のみであり、小説やコミック等は原則含まれない(注2)点に注目すれば、最低限見るべき本数はグッと減る。
 そこからさらに、「異なった世界感」が複数ある事を逆用し、視聴方針の絞り込みを行うと良い。
 今現在の所、『ガンダム』の世界は
「初代から連なる『宇宙世紀(U.C.)』」
「『平成三部作』と呼ばれる一群と『∀』」
「SEEDの『コズミック・イラ(C.E.)』」
「00の『西暦』」
 と、劇中の「暦」に注目すると整理しやすい(★補2)。
 『平成三部作』=『G』『W』『X』と、『∀』のみ、劇中の「暦」がバラバラで世界感も異なるが、これは『∀』に「異なる世界感のガンダムも全総括する」という物語上の遊び部分があり、深めのファン層にはこれらを一群と見る風潮があるためであり(★補3)、基本的には「暦が違ったら異世界の話」と考えて差し支えない。(以下次号)


★補1
 メーカーにしてみればこういった序列は作りにくいだろうし、個人的考察記事も、好きでやってると語りたい事が多いから、なかなか単純化するのも大変、というのがあるのだろうな……と、呑気に推察しながら始めてみたら、これが思いの外、ストレスが多くて苦しい(--;)(苦笑)
★補2
 ここで言う「公式」とは、サンライズが同世界感での続編製作時のためにまとめている参考設定集としての公式であり、その内容は新作発表や、サンライズ自体の製作方針で日々変化している。
 が、基本的にはサンライズは「アニメ屋さん」なので、出版物関連やゲームソフトは、一部の例外を除いて公式設定には組み込まれにくいのである。
 特に、最近はゲームから『ガンダム』に入る人は多いと思われるが、展開の自由度という観点から、ゲーム内の設定はかなりの部分でアニメとは異なる場合が多いので注意されたし。
★補3
 コレとは別に『SDガンダム』という一群もあるのだが、これらは公式設定という縛りに捕らわれずに自由に展開しているところが味わいとなっているので、小難しい事は考えずにドレでも好きなところから見始めてOK。アル意味入門用には最適かも知れない。
 ……個人的には、フルCGTVアニメとして画期的で、正統派の少年向け展開が熱かった『SDガンダムフォース』を強く推しておきたい。

次回は「35:『ガンダム』を見よう その2」
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&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&& 執筆者紹介 &&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&
◆星雲御剣(せいうん みつるぎ)
 80年代後期ファミコンブームの頃から各ゲーム誌で攻略記事を担当。
 ゲームのみならず、マンガやアニメにも造詣が深く、某大手出版社の入社試験では、面接官に聞かれたウルトラマン、仮面ライダー、ガンダムの顔と名前を全部言い当てたのが合格の最大の決め手になった、と言われている(笑)。
 独特のオタク感を実生活に反映させる生き様を模索、実践する求道者。
◆清水銀嶺(しみず ぎんれい)
 唐沢俊一氏主宰の『文筆業サバイバル塾』第一期塾生。
 既刊『メイド喫茶で会いましょう』(共著)

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