子供を護る56の方法 その1【覚悟から始めよう】

 2005年12月に長野県の諏訪湖で行方不明になった小学校5年生の男の子が、年が明けた1月に遺体で発見されたのを覚えているだろうか。死因は水死で、転落事故だろうとの事だった。(※1)
 そのニュースを読み上げる草野仁キャスターが、「ちょっと残念な結果になりましたね」と言うのを聞いて、思わず膝を打って感心してしまった。
「最近は子供が犠牲になる事件が多くなった」と識者が語り、会う人ごとに同じように言う。そんなご時世からすれば、この程度は「ちょっと残念」程度のこと。まったく、子供にとっては生きにくい世の中になったものだ。
 しかし、「最近は」というのであれば、やはり過去との比較が必要だとも思う。「昔は」と、しばしば語られる「子供にとって良かった時代」は、「いつ」だったのか。
 1972年生まれの私の親が成人する頃の1964年には、俳優の高島忠夫の長男が、お手伝いさんに殺されるというショッキングな事件を始めとして、高校生が同級生を包丁で殺害とか、なんかあまり今と状況が違うとは思えない事件が起きている。
 戦時中は言わずもがなで、子供にとっても大人にとっても悲惨な時代だった。
 さらに戻っていくとどうか。
 子供が犠牲になる事件は少なくないし、逆に子供が加害者の事件もかなりある。18歳の少年が、交際していた訳でもないのに、好きだった少女を太い竹で刺し殺したなんて事件は、クラスメイトの女子を男子が包丁で刺し殺した事件(※2)よりも、なんだかスゴそうだ。
 そもそも昔へ辿っていくと、今よりも人権意識は薄く、新聞が出る明治期よりも前ともなれば、奉公に出されたり、障害児は見世物にされたり、今の感覚では尚のこと許せないような事例が資料では目に付く。
 そして、医学の頼りなさは今以上。
 うちの子は医師からは1度「諦めて下さい」と言われて生まれた、いわば「生まれるはずのない子供」だった。生まれるはずがないのに生まれてきたのは、まさに現代だからこそで、事故や事件に遭うのは、その引き換え。
 だとしたら、ちょっと目を離すその時で2度と会えなくなるのも仕方のない事なのかもしれない。
 まず、その覚悟から始めよう。
(※1・読売新聞2006年1月15日の記事より引用)
 行方不明の小5男児、諏訪湖で遺体発見
 
 15日午後0時20分ごろ、長野県岡谷市湊の諏訪湖で、うつぶせになった子供の遺体が浮いているのを、釣りに来た同市の無職男性(70)が見つけ、岡谷署に通報した。
 同署で調べたところ、遺体は、昨年12月3日から行方不明になっている同県諏訪市清水、同市立高島小5年堀内竜桜(りゅうおう)君(11)と確認された。
 堀内君が見つかったのは、行方不明になった釜口水門公園のすぐそばで、遺体に目立った外傷はなく、着衣も行方不明になった当時のままで、争ったような形跡もなかった。
 同署は、堀内君が行方不明になった直後、誤って諏訪湖に落ちた可能性が強いとみて調べている。発見された場所の水深は約4・7メートルで、氷は張っていなかった。
 堀内君は昨年12月3日、母親、妹と3人で岡谷市の知人を訪問し、犬の散歩に出たが、母親が目を離した間に姿が見えなくなっていた。県警は、公開捜索を行い、学校関係者らも加わっての捜索を行っていた。
(※2・中国新聞2005年11月12日の記事より引用)
 東京都町田市の都立高校一年、古山優亜さん(15)が団地の自宅で殺害された事件で、警視庁町田署捜査本部は十一日夜、殺人容疑で同じ高校に通う同学年の少年(16)の取り調べを始め、逮捕状を請求した。容疑を認めており、十二日未明に逮捕する。
 少年が手にけがをして、血の付いた衣服をクリーニングに出していたことも判明した。高校によると、少年は十一日朝、右手に包帯をして登校。けがの理由を「自転車で転んだ」と担任に話していた。
 優亜さんは首など約五十カ所を刃物で切られており、捜査本部は、少年と優亜さんとの間に何らかのトラブルがあった可能性もあるとみて詳しい動機を追及する。
 調べでは、今月二日、古山さんの自宅の鍵などが入ったバッグが校内で何者かに盗まれていた。運送会社で運転手をしている母親の君子さん(39)が事件後の十一日未明に帰宅し優亜さんの遺体を見つけた際、玄関ドアには鍵が掛かっていた。
 十日夕、優亜さん宅から「ギャー、助けて」という悲鳴や「ドスンドスン」という争うような音がしていたことも住民の話で分かった。
 捜査本部によると、盗まれたのは緑色のバッグで、生徒手帳や銀行のキャッシュカードが入っていた。二日午後七時ごろ、高校の中庭にある机の上に置いていたところ、目を離した約十分間に何者かに盗まれた。
 キャッシュカードは七日午前、町田市内の横浜銀行成瀬支店に届けられた。届けたのは男性で、「二-三日前に町田市内で拾った」と話していたという。
 盗難被害の後、優亜さんは古山さんに「知らない人が家に入ってきたらどうしよう」と怖がっていたという。
 一方、現場の自宅内は争ったように散乱していた。優亜さんは居間で血を流して倒れていたが、ダイニングキッチンでも血痕が見つかった。
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配信:サークル見習い魔術師
編集:泉 都市
著者:清水銀嶺
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