先月、北九州市で2歳の保育園児が、保育園の送迎車内に約4時間も閉じ込められ死亡するという事故がありました。(※1)
警察の検分によると、車内の温度は50度にも達し、病院に運ばれたときの園児の体温(直腸温度)は40.8度だったそうです。完全に熱中症を起こしていたと考えられます。
近くの公園から帰ったさいに、同じシートに座らせた別な園児が自分で降りてきたため、一緒に降りたものと思い込んだと保育士は語ったようですが、その後のオムツの交換や昼食、さらには件の送迎車を駐車場に移動させる時、何度も気づく機会がありながら、オヤツのプリンが余って初めて気づいたというのは、どうにも不思議でなりません。そのうえ、園児を車内で発見してから、救急車を呼ぶまで20分の空白時間があったというのですから、事故を隠蔽しようとしたのではないかとさえ思えます。
これでは子供を預ける親は、1時間ごとにでも安否確認の電話を保育園に入れなければ、安心できないでしょう。実際、WEBカメラで園児の様子を親の携帯端末に配信したり、メールで様子を伝えるサービスを行っている保育園や託児施設はあるので、「子供を護る方法」として、そういう施設を選ぶのは有効だと思われます。
ところで、この熱中症という疾患は、身近で起こりえる疾患でありながら、誤まった認識をされてるかたが少なくないようです。
まず、似た語句で「熱射病」や「日射病」がありますが、医学的には「熱中症」に含まれます。そして、暑い環境にさらされされる外因と、運動などによって体の中から熱が発生する内因によって、体温を適正に保つことができない失調状態が、熱中症ということになります。
今回の事故は外因のもので、一般的には熱中症は外因性と理解されているため、そのための対策をしているという人は多いようですが、内因性の熱中症も少なくないことは覚えておきましょう。秋から冬にかけてのスポーツ中に起きた事例は、決して少なくありません。というのは、運動の内容にもよりますが、運動をすると主に筋肉から熱が発生し、20~30分でピークに達します。その時には、体温は平静時よりも4度程度上昇しており、適切に体温を下げないと熱中症を起こします。
また、外因についても、気温の高さよりも湿度の高さが影響する傾向にあまりす。これは、湿度が高いと放熱されにくいためです。これにより、屋内で起きているケースもあります。
つまり、外因にしろ内因にしろ、熱中症は複合的な原因で起きると認識しておくべきです。
それと、今回の事故のようにパチンコや買い物で車内に残された子供が死亡した事例では、冷房をかけておいたり、窓を少し開けていた場合でも起きていることを知っておきましょう。
例え冷房をかけておいても、何かの拍子に車のエンジンが止まって冷房も止まると、わずか5分程で車内は40度を超え、20分もその環境の中にいれば熱中症を引き起こします。
窓を少し開けておくのも、風を人間が涼しいと感じるのは体表部の熱を奪ってくれるからであり、車内に風が入るだけでは、温度はそれほど下がりません。
さらに、車内に子供を残した状態で車両が盗まれるという事件も起きていますから、そもそも子供を車内に残すのが危険だと考えるべきでしょう。
さて、熱中症の話に戻りますと、その症状の重さによって以下の三つに分類されます。
★軽症度
・多量の発汗と、手足に痙攣が現れる。(腹痛をともなう場合もある)
・頭がボウッとしてきたり、数秒ほど気を失う。
・脈拍は速いのに、脈の力が弱まる。
・呼吸回数が増えたり、顔色が悪くなったりする。
・唇がしびれたり、舌が回らなくなる。
★中等度
・話しかけても、生返事が多くなる。
・眩暈、疲労感、虚脱感、頭重感(頭痛)、吐き気(嘔吐)などの症状が重なって起こる。
・血圧の低下、頻脈(脈の速い状態)、皮膚の蒼白、多量の発汗などの症状が見られる。
★重症度
・呼びかけに応じなくなるなどの意識障害が起こる。
・全身痙攣や、体に触れても反応を示さなくなる。
注意したいのは、軽症度から順に重症度に変化していくのではなく、いきなり重症度になるケースがあることです。
ですから、予防が最大の治療法ということにもなります。
そこで、予防法を先に示してから、起きてしまった場合の対処法を案内したいと思います。
●予防法
・連続の運動は、30分以内に収める。
運動を始めてから20分を経過すると、体温を一定に保つために、体は発汗などの別な作業に移行するので、それを妨げないために休憩を要します。
子供との散歩やサイクリング、体を使うゲームやスポーツなどでの目安にして下さい。
・こまめに水分を補給する。
これはよく言われることですが、その補給の仕方にも注意が必要です。
まず、水分だけを補給しても意味がありません。汗を舐めれば、しょっぱいように塩分が必要です。
理想としては、1Lの水に対して2gの塩分濃度の水が最適です。スポーツドリンクで代用するのもいいでしょう。(逆に言えば、運動をせずにスポーツドリンクを飲むのは体に害を及ぼします。)
また、汗は成分的には「透明な血液」と同じですので、ミネラルも多く失います。ですから、麦茶などのミネラルを含んだ飲み物をベースに塩を加えるという方法も、疲労を回復するのに有効です。
そして、水分を補給する飲み物と、咽喉の渇きを潤す飲み物は、別々に用意して下さい。
水分を補給するのには、温かくなくてはいけません。何故かというと、人間は水分や栄養を腸から吸収しますが、腸は体温よりも冷たい物を吸収できません。
そのため、冷たい物を摂取すると、胃で体温に近くなるまで貯めておいて、温めてから腸に送るというタイムラグが発生します。
そして、そのタイムラグによって、どんなに冷たい物を飲んでも、なかなか脳は咽喉の渇きが解消したと認識できず、過剰に水分を求めるということが起きます。水分の過剰摂取もまた、体内の塩分濃度を不安定にするため、体に変調をきたすことになります。
ですから、水分を適正に体内に吸収してもらうために、まずは温かいほうを飲み、それから咽喉を満足させるために冷たい物を飲むという二段構えにします。
ぬるま湯を保存するのでは腐敗する可能性がありますから、その危険を回避するためには、魔法瓶に熱い飲み物を入れて、飲むときに冷たい飲み物と割るのが良いでしょう。
・通気性の良い服装をして、外では帽子を被る。
このとき注意が必要なのは、頭頂部よりも首の後ろを守ることです。首の後ろには太い、血管があり、ここは体温調節の要です。
ツバが前にある帽子の場合はツバを後ろ側にして被るか、タオルなどで首の後ろが隠れるようにしましょう。
●応急処置
「応急処置」という言葉も誤解されていることが多いですが、応急処置は「応急的に治す」のではなく、「医療機関に連れて行くまでの処置」です。
特に熱中症は、回復したように見えて後で急変することがあるので、たとえ軽症度でも必ず医療機関に連れて行き受診するべきです。
・すみやかに涼しい場所に運び、衣服を緩めたうえで、足を頭一つ分ほど高くして寝かせる。
・手足の先から、体に向けてマッサージする。
・軽症度か中等度であれば、先の方法で水分を補給させる。
・風を送ったり、水があれば体にかけて冷やす。保冷剤などがある場合には、太い血管が通っている、首の後ろ・脇の下・足の付け根・太ももの内側などに重点的に当てて冷やす。
以上の処置をして20分以上経過しても回復しない、あるいは意識障害が起きてると思われるときには迷わず救急車の出動を要請して下さい。(冒頭の保育園のケースでは、発見時に時間が経過してることは明らかなので、まず通報を優先するべきだったと考えられます。)
※環境省熱中症予防情報サイト
http://www.nies.go.jp/health/HeatStroke/
※熱中症情報
http://www.n-tenki.jp/HeatDisorder/
(※1・読売新聞2007年7月28日の記事より引用)
北九州市小倉北区の無認可保育園「中井保育園」(北村寿和園長)の送迎車に園児の浜崎暖人(はると)君(2)が放置され、熱射病とみられる症状で死亡した事故で、保育士らが心肺停止状態になっていた暖人君を発見してから119番通報するまで約20分かかっていたことが福岡県警小倉北署の調べでわかった。
また、保育士らは暖人君がいないことに気付いてからも北村園長に報告していなかったことも判明。同署は、ずさんな管理体制が事故を招いた可能性もあるとみて、28日朝から業務上過失致死の疑いで園長や保育士らの本格的な事情聴取を始めた。
調べによると、暖人君は27日、保育士らと遠足に行き、午後1時半ごろ、女性保育士2人が乗ったワンボックスカーで、他の6人の園児と保育園に戻ったが、屋外駐車場の車内に置き去りにされた。保育士らは園児がそろっているかどうか点呼も怠っていた。
別の女性保育士(41)が午後5時すぎ、車内で暖人君を見つけたが、保育士は園へ連絡して、車を日陰に移動させてクーラーをつけたり、暖人君のおむつを交換したりしたため、119番通報は5時半ごろになったという。
保育士らは午後4時ごろに暖人君がいないのに気付き、捜し始めたが、北村園長には、暖人君が見つかるまで報告していなかった。
配信 サークル見習い魔術師
編集 泉 都市
著者 清水銀嶺
E-mail:info(アットマーク)magical-shop.net
http://www.magical-shop.net/
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サイクリング・レース中のハプニング?動画:観客投げたぁー!
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保育士
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朝日新聞に追加記事。
エアコンでどうにかできるわけ無いのに=3
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北九州市小倉北区の私立中井保育園に通っていた浜崎暖人(はると)ちゃん(2)が園の送迎用ワゴン車内に放置されて亡くなった事故で、園側が119番通報したのは発見から約40分後だったことが、市に事故報告書を提出した園長の説明でわかった。車内でぐったりしていた暖人ちゃんは生きていたとみられるが、応急処置や園関係者への連絡で時間がかかったという。
北村寿和園長(31)が3日、報告書を出した後、報道陣に答えた。市は報告書の内容は公表していない。
園長の説明によると、保育園のスタッフが暖人ちゃんを車内で発見したのは7月27日午後4時50分。その20分前、おやつのプリンが1個余ったため、「暖人ちゃんがいない」と捜し始めていた。園外保育から戻った午後1時半から約3時間たっていた。
「送迎用の車の中ではないか」。保育士の1人が園の幹部にワゴン車の鍵を借りに来た。理由は「帽子を捜すため」。暖人ちゃんのことは伝えなかったという。鍵を受け取ったスタッフが車のドアを開けた。暖人ちゃんがいた。
車を木陰に移動させ、エアコンをつけ、保育士に電話した。駆けつけた保育士がスタッフに指示し、北村園長に連絡した。「暖人ちゃんが車の中にいた。熱中症かもしれない」。すでに午後5時10分だった。
園で待っていた北村園長は、戻ってきた暖人ちゃんの印象を「目がうっすらと開いて小さな声が聞こえた」と振り返った。「とても応急処置できる状況ではない」と119番通報したのは、発見から約40分後の午後5時29分だった。
救急隊は暖人ちゃんを病院に運んだが、すでに心肺は停止。午後7時5分、死亡が確認された。
北村園長は「なぜこうなったのかを真摯(しんし)に受け止め、考えていく。一生忘れるつもりはない」と話した。
(2007年08月04日の朝日新聞より引用)
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