新世紀エヴァンゲリオン

 1995年10月4日から『テレビ東京』系列で放送されたTVアニメ。原作は『GAINAX』、監督は庵野秀明。貞本義行による漫画版が存在するが、アニメの企画を元に細部が異なる設定で描かれている。
 ジャンルとしてはロボット物に分類されるが、主役メカは「汎用人型決戦兵器人造人間」と称されており、ロボットではない。ただし、監督の庵野氏は雑誌のインタビューなどでは「ロボット」と発言しているため、あくまで設定内の話。むしろ気にしているのは、コアなファンの方である。
 全26話のうち最終2話は、絵コンテや線画、写真などが多用され、内容も物語の謎を解かないまま、主人公が自己に目覚めるという自己啓発セミナーのような結末を迎え物議を醸した。
 表現方法がそのようになったのは、視聴者の間では制作が間に合わなかったからだろうと噂されたものの、制作側の証言によればスケジュールが逼迫していたのは事実であるが、意図的な作りであったという。
 その意図とは、物語の本筋とは離れた謎の解明に躍起になるファンや、登場人物への過剰な思い入れゆえにファン同士で罵倒し合うことに嫌気が差した庵野監督が、「現実に還れ」という思いを込めたとも云われる。
 一方、主人公でありエヴァンゲリオン初号機のパイロットである碇シンジの消極的な態度と、それに反する「他人に認められたい」という願望は、当時の庵野監督の内面を投影したものであり、救われたかったのは監督自身だったのだろうという指摘もある。
 筆者個人としては当時、知り合いの中学生が学校での虐めに悩んでおり、この作品を通して「生きなければ」と頑張ったという話を聞き、それだけでも意義深い作品だったと思っている。
 なお、最終2話に該当する部分は、1997年7月公開の劇場版として作り直され、もう一つのラストが描かれた。
 それから10年後の2007年9月には、タイトルを『ヱヴァンゲリヲン』(企画当時の没タイトル)と改め、旧作の原画を使用しつつ新たに作画を起こした劇場版『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』が公開された。
 物語の序盤や次回予告の内容から、旧作のラストである「死と再生」を受け継いでいる続編ではないかと推測される。
 そして『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』が公開され、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:急』+ 完結編(公開日未定)が予定されている。
 制作は庵野氏が立ち上げた『株式会社カラー』であり、これは最終的な責任の所在が不明確になる俗に云う「委員会方式」を避けるためだとのこと。
 ちなみに、一時期世間を席巻した片山恭一の小説『世界の中心で、愛をさけぶ』のタイトルは、作者が『恋するソクラテス』と考えていたところを、担当編集者が本作のTV版最終話「世界の中心でアイを叫んだけもの」にヒントを得て助言したとされている。
 その「世界の中心でアイを叫んだけもの」もまた、ハーラン・エリスンのSF小説『世界の中心で愛を叫んだけもの』(The Beast that shouted Love at The Heart of The World 1969年)からインスパイアされたものである。
 本作には、過去のSF作品や漫画にアニメ、日本映画といった様々な作品からのパロディあるいはオマージュが取り入れられており、それがまた「元になった作品を知らないまま」他の作品に取り入れられた格好となっている訳で、このことは創作におけるオリジナリティとは何かを問いかけているようにも思える。

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