テレビ作品の『ウルトラセブン』や『スペクトルマン』などのコミカライズ(漫画本化)を精力的にこなし、今も現役で漫画家として活躍している一峰大二先生の原画が見れるということで、さいたま市立漫画会館で催されている『一峰大二原画展』に行ってきました。
会場の漫画会館は、職業漫画家第一号と云われる北沢楽天氏の居宅跡に建てられたそうで、個人邸宅といった佇まいのため、気をつけないと通り過ぎてしまいそうです。
玄関前には、金魚のいる堀と、錦鯉のいる堀があり、ついつい眺めてしまったり。
入場料は無料で、事務室の人に軽く会釈して館内に入り展示室の2階へ上がると、復刻されている漫画本が真ん中に置いてあり、それらは館内で読むことができます。
そして、周りには初期の原画から最近の一コマ漫画の原画などが展示されていました。
一峰大二先生がコミカライズを手がけていた頃は、漫画の原稿というのは訪ねてきたファンにあげてしまったりというのが当たり前で、そのうえ近所の漫画家からカラー原稿をもらったという子供の話を聞くと、自分も競うように気前良く渡したため、あまり残っていないそうです。
ううん、羨ましいぞ昔の子供。(写真に写ってるのは清水氏の子供さん。どう見ても館内では退屈してました(^_^;)
自分が初めて読んだ作品は『スペクトルマン』で、小学生だったという記憶(発行されたのが生まれ年頃)だから、まだそこまでの熱意も行動力も持っていなかったのが実に残念な限りです。
展示されている原画を見ると、ペンで描いた部分と筆で描いた部分の違いや、怪人の体に入れた模様をホワイトで消した跡があったりと、とても興味深いものでした。
作品に関連した当時のソフビ人形やブリキの玩具などもある展示スペースは、広さとしては狭いものの、復刻漫画を読み始めたら止まらなくなるのは確実で、私はモーリス=ルブランの『アルセーヌ・ルパン』のコミカライズを読み込んでしまいました。
ちなみに、ファンの人に連れられて来る「ファンではない付添い人」のためなのか、『少年ジャンプ』や『クレヨンしんちゃん』といった漫画も置いてありました(笑)
交流ノートらしき物もあり、そこには犬山氏が『電人ザボーガー』を即興で描いてきました。(こちらは犬山氏描き下ろしの『ミサイルマンマミー』)
こういう時、絵の描ける人は羨ましい。
ところで一峰大二先生、明らかにヒーローよりも怪人や怪獣の描写に力が入っているような気がします(笑)
一峰大二先生の原画を堪能してから、1階の北沢楽天氏の作品も閲覧。
船体の周囲に汽車が走っている巨大な軍艦や、テレビ電話の不便さの一つである、電話に出るときの身だしなみの必要性なんかをネタにしたイラストがあり、明治や大正時代の作品とは思えないほどの先進的なアイデアと、それを描いてみせた筆致に感心しました。
東武野田線大宮公園駅から徒歩5分の、閑静な住宅街の中にある漫画会館。
秋の散策がてら訪れるのも良いかと思います。
事務所の前には、赤塚不二夫先生のスタンプなどがあるので、スタンプ帳もお忘れなく。
一峰大二先生の原画展は、2008年11月24日(祝・月)まで。