私が一方的に「漫画の伝道師」と崇めている新田五郎氏が主催するイベント、「格闘技マンガ特集!! ~虚と実のクロスオーバー~」に参加してきた。
時は2010年9月11日(土)、会場は『ムーブ町屋』のハイビジョンルーム。
今回のゲストは、ライターの渡辺僚一氏。
こぢんまりとした会場の冷房の効いた小部屋なれど、それはもう恐らくは格闘技漫画の大好きな参加者が集い、濃いトークが炸裂する「ε-(´o`;A アチィ」イベントだった。
格闘技漫画を好んで読むこと無く、格闘技を見るのもするのも縁遠い私は、完全に知識面で置いてけぼりだった。
途中で、「大山倍達」や「グレイシー柔術」について知らない人は手を挙げてと気遣っていただいたものの、それこそあの雰囲気の中で手を挙げられたら猛者というもの。
じゃあ何を好き好んで、そんな場違いなイベントに参加したのかといえば、ソレはひとえに「好きなジャンルは自分で調べるから、知らないジャンルに俺を叩き込んでくれ」と、物凄く積極的に後ろ向きな理由からである。
そして、その目的においては充分に楽しませてもらった。
大山倍達が牛を絞め殺したという逸話から、梶原一騎が「大山は熊を絞め殺した」という物語を創り出して格闘技漫画と実際の格闘技界に呪いをかけ、今も尚その呪いが続いているという話に戦慄し、作者が全く格闘技について調べないまま描いたであろう作品群に笑い転げ、異種格闘技戦など漫画で描かれた出来事が現実化したかと思えば、現実の格闘技を模倣しながら漫画が先を行くことを繰り返している歴史に感嘆した。
特に、どうしても漫画では絵的に派手な打撃系などの大技がメインになるため、寝技や関節技を漫画的な面白さと格闘技としての迫力を兼ね備えて描いた作品は少ないという話には、今後、格闘技漫画を読むうえで重要な視点を示してもらった。
そして、小学生の頃に風邪で寝込んでいる時に『コータローまかりとおる!』の連載前の読み切りを読み、「面白いギャグ漫画だ」と思った私は、連載開始後に「格闘技漫画になっていくのを嫌って」読まなくなってしまったのだが、時代ごとの流行りの格闘技を良く研究しているということを知ったのは大きな収穫だった。読んでみようと素直に思う。
こうなると、次のイベントではどんなジャンルを取り上げるのか楽しみである。
ただ一つワガママからお願いしたいのは、トークで取り上げた作品(あるいは用意はしたけど取り上げなかった作品)のリストが欲しい。
探してみたいので。