登場人物が、老いも若きも青臭いセリフをバンバン吐くので、「こいつらの頭の中は、お花畑か?」と思っていたら、ラストシーンが本当にお花畑で吹き出してしまった。
宇宙にまで、巨大な花を咲かせていたし。
まさか、こんなファンタジー作品になるとは思いもしなかった。
まぁ、「ファースト」と呼ばれる『機動戦士ガンダム』も劇場版『機動戦士Zガンダム』では「超能力学園ラブコメディ」になってて、その前に劇場作品として公開された『逆襲のシャア』は壮大な痴話喧嘩でケリをつけていたから、ファンタジーなら綺麗に終わった方だとは思う。
しかし、巨大な物体が地球に迫るというモチーフは、それこそ逆シャアと似ていて、それならば今作のスタッフは、劇場版『美少女戦士セーラームーンR』を観て反省しなさいと言いたいところ。
セラムンRの監督である幾原邦彦氏は、逆シャアにオマージュを捧げたと語っており、宇宙に巨大な花というモチーフは今作に似ている。
にも関わらず、今作は逆シャアとセラムンRから、技術も演出手法も進んだ現在の作品としては、あまりにも稚拙で迫力に欠けていた。
特に、派手なだけで単調な戦闘シーンは、眠気を催してしまった。
逆シャアは作画のレベルの低さが当時から語り草だが、たとえ混戦状況でも、モビルスーツの飛び方やアップとロングの繋がりにパイロットのカットインなど、誰が何をしているかが分かるように演出されていた。
それに比べて今作では、パイロットのアップからモビルスーツのアップと、その攻撃というパターンが繰り返され、混戦になったら観ている方まで混乱。
混乱してしまうから、誰がどんな被害を受けたか分かりにくく、これではラストシーン近くでの敵との「和解」が生きてこない。
そして、物語を美しくまとめようとしているのに、絵的な美しさではセラムンRに及びもしない。
これでは、「さぁ、泣くぞ」と準備していた観客はラストシーンで、こみ上げる笑いに耐えなければならないではないか。
これならいっそ、劇場公開ではなく、後日譚としてTVスペシャルにしてしまった方が良かったと思う。
ネットで実況しながら、みんなで和気藹々とツッコミを入れながら鑑賞する。
そうすれば、戦闘シーンで眠くなるということも無かっただろう。
◆劇場版『機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』
http://www.gundam00.net/